「木造(W造)」の耐震性について
こんばんは!
オレンジルームの杉山です。
今回は「木造」の耐震性について書いてみたいと思います。
ちなみに高さ13m、軒の高さ9m、または延べ床面積3000m2を超える建築物は、主要構造部を「木造」としてはならないと建築基準法で定められています。
そのため比較的小さな建物に使われています。
戸建てや賃貸アパートなどに多いです。
木造の建物はどの程度の揺れで損傷や倒壊をしてしまうのでしょうか?
気象庁の「震度階級関連解説表」には下記のように書いてあります。
○ 木造建物(住宅)の状況
☆耐震性が高い☆
「震度6弱」
壁などに軽微なひび割れ・亀裂がみられることがある。
「震度6強」
壁などにひび割れ・亀裂がみられることがある。
「震度7」
壁などのひび割れ・亀裂が多くなる。
まれに傾くことがある。
☆耐震性が低い☆
「震度5弱」
壁などに軽微なひび割れ・亀裂がみられることがある。
「震度5強」
壁などにひび割れ・亀裂がみられることがある。
「震度6弱」
壁などのひび割れ・亀裂が多くなる。
壁などに大きなひび割れ・亀裂が入ることがある。
瓦が落下したり、建物が傾いたりすることがある。
倒れるものもある。
「震度6強」
壁などに大きなひび割れ・亀裂が入るものが多くなる。
傾くものや、倒れるものが多くなる。
「震度7」
傾くものや、倒れるものがさらに多くなる。
木造建物(住宅)の耐震性により2つに区分けした。
耐震性は、建築年代の新しいものほど高い傾向があり、概ね昭和56年(1981年)以前は耐震性が低く、昭和57年(1982年)以降には耐震性が高い傾向がある。
しかし、構法の違いや壁の配置などにより耐震性に幅があるため、必ずしも建築年代が古いというだけで耐震性の高低が決まるものではない。
上記における木造の壁のひび割れ、亀裂、損壊は、土壁(割り竹下地)、モルタル仕上壁(ラス、金網下地を含む)を想定している。
下地の弱い壁は、建物の変形が少ない状況でも、モルタル等が剥離し、落下しやすくなる。
木造建物の被害は、地震の際の地震動の周期や継続時間によって異なる。
平成20 年(2008年)岩手・宮城内陸地震のように、震度に比べ建物被害が少ない事例もある。
上記はあくまで目安としてご覧ください。
たまにお部屋を探されている方に、「木造」は地震に弱いから駄目、と言われることがあります。
確かに新耐震基準前(昭和56年以前)の「木造」の建物は、地震にはあまり強くないものが多いです。
新耐震基準で建てられた建物であっても、「阪神・淡路大震災」の時には、壁のバランスが悪かったなどにより倒壊した建物がありました。
「阪神・淡路大震災」のときに倒壊した多くの建物は、木造の建物だったといいます。
その死因も建物倒壊による窒息死や圧死が70%以上を占めました。
そのため平成12年(2000年)に建築基準法が改正されました。
この改正では、各部材・設備が組み合わされて達成されるべき目標性能が明示されました。
具体的には、
1.継ぎ手と仕口に、使用しなければならない接合金物を規定
2.建物の4分の1ゾーンを使ってバランスよく軸組(耐震壁)を配置することを規定
3.地盤の耐力に応じて基礎の構造方法を定めた
これにより木造の建物の耐震性が大きく上昇しました。
ちなみに「耐震性能表示制度」というものがありまして、耐震性を耐震等級1~3というように分けています。
○ 耐震等級1
「稀に(数十年に一度程度)発生する地震による力(震度5強程度)に対して損傷を生じない程度」
「極めて稀に(数百年に一度程度)発生する地震による力(震度6強・7)に対して倒壊、崩壊等しない程度」
(建築基準法同等の耐震性能)
○ 耐震等級2
等級1の地震力の 1.25倍の地震力に対抗できるもの
○ 耐震等級3
等級1の地震力の 1.5 倍の地震力に対抗できるもの
住宅性能表示制度における耐震性能の等級は、マンションの場合ほとんどが耐震等級1です。
耐震等級2を取得しているマンションは非常に少ないです。
一方木造の一戸建てでは、耐震等級3は珍しくありません。
ハウスメーカーの中には、全棟耐震等級3というところもあります。
木造の建物は地震に弱いと思っていた方、今の木造はなかなかすごいですよ。